有翼のフロイラインをクリアしたのでレビューします。
ネタバレあり。
ストーリーについて
公式サイトより抜粋。
正体不明の敵性勢力の登場により、空は完全に人類の物ではなくなった。
圧倒的な性能と機体数で空を覆い隠した事から、人類共通の敵は―”ブランカー”と命名された。
人類の希望は新しく開発された機体とそれを駆る少女たち―”フロイライン”に託される事になる。
誰もが機械の翼―”ヘルトシステム”を装着する事はできるわけではない。
ヒロインの”クラーラ”はその”ヘルトシステム”を装着することのできる数少ない才能と素質を持った一人。
この戦いの行く末を彼女の視点を通じて、空と地上から体感せよ。
PVを見ると感じると思うが、全体的に雰囲気は暗め……というよりは不穏といった方が良いか。
ただ、上記のストーリーは基本的にあんまりストーリーに絡んでこない。
クリアしてから上記の文面を読んだのだが、読まずにプレイしたら『ブランカー』という敵が人類じゃないということが最後までわからなかった。
ブランカーは人類じゃないっぽいけど……人類なのか?!みたいな気持ちで最後までプレイした。
左が主人公のクラーラ、右が隊長のエーリカ。ネームドは2人をあわせて3人しかいない。
ゲーム性について
PVで見られる通り、高速戦闘を売りにしたフライトシューティング。
自動フォーカス(ロックオン追尾機能)もあるし、基本的には何も難しいことは考えずにプレイして攻略することができる一品。
まったくのゲーム初心者でも適当に操作してそれっぽい絵面になるのは良い設計。
感想
まずよかった点から話すと、ストーリーパートではクラーラとエーリカの丁寧な百合を見ることができる。ここは尊くて良い。
あと、戦闘中の音楽も良い。いい感じに爽快感溢れるBGMが各ステージごとに用意されている。聞いてて気持ち良い。
しかしそれ以外の点は残念ながら誉められるレベルにない。
まず高速戦闘が売りのフライトシューティングだが、別に高速戦闘しなくても勝てる。
というか高速で動くとかえって敵を見失いやすいし指が疲れるだけなので、ふわーっと浮いたまま敵を撃ち続けた方が効率が良い。
というかこういうゲームで高速に動く利点といえば、敵の攻撃を避けやすいとかそういうのなのだろうが、そもそも敵が攻撃してこないので高速に動く必要がない。
じゃあなんのためにブースト吹かすの?となると敵に近づくため……以外にない。
まぁ一応書いておくと攻撃してこないのは空中の勢力だけで、一部の大型目標と地上の敵は攻撃してくる。
ただ、地上の敵はこのゲームおまけみたいなものでほぼ攻撃してこないと言って差し支えない。
後半になればなるほど攻撃してこない敵がの割合が多いので、文字通り敵をフォーカス(≒ロックオン)して攻撃するだけのゲームになる。
これは本当に冗談抜きで、フォーカスさえすれば当たるし、敵は攻撃してこないので適当に攻撃ボタンを連打するだけで画面を見ずにクリアできる場面が多い。
すべては敵が攻撃してこないから。
ステージ数が6しかないのに、まったく攻撃をしてこない敵を5機撃墜して終わり!というステージがあるのはやばい。
「敵の攻撃を引きつけて!」と言われても敵が攻撃してこないので本当に放置するだけの時間があるのはさらにやばい(しかも敵は倒せない)。
唯一ラスボスだけはこのゲームの持ち味であるスローモーションとブーストを掛け合わせた戦闘でちょっとだけ面白みがあった。
ただ結局は避けてペシペシ撃つだけの作業なのでおもしろいかと言われるとかなり微妙。願わくばザコ敵でこれぐらいのギミックを出して欲しい。
肝心のストーリーにしても、終盤直前まではひたすら百合が見せられるだけ。
終盤は百合を放棄して主人公がフロイラインのシステムに心と身体を飲まれて悲しいね!みたいな展開をダイジェストで見せられて終わり。
戦争は終結してないし、そもそも敵がなんなのか?なんのために戦争してるのか?フロイラインってなんなのかすらもいっさいわからず終了。
まぁ、私個人としては百合は好きなので別にそこはいいんだが、こういう戦争モノを購入する人は百合を見たくて買うわけじゃないと思う。
あってもいいけどあくまでフレーバーというか、ラーメン食べに行ったらラーメンはおまけでアイスクリームがたくさん出てきたみたいな感じ。
というか公式ホームページ見たら
この戦いの行く末を彼女の視点を通じて、空と地上から体感せよ。
とか書いてあってびっくりした。戦いっていうか、『彼女の行く末』ならわかるんだけどなぁ。
なんのためのストーリーだったのかというと、ただひたすら百合を見せられてたかと思ったら主人公が急に発狂したと思ったら正気に戻って百合を見せられて終わった……。なんのストーリーだったんだ?
ヘルトシステムとブランカーの正体も謎の雰囲気だけをばらまいて終わった。
これは続編の雰囲気だけばらまいているのか、それとも設定を放出しきれなかったのか……。おそらく後者だと思うが。
総評
このゲームを「ボリュームが少ない」という評価をする人を見かけるが、それは正しくない。その評価は端的すぎる。
そもそも「ボリュームが少ない」というのは料理で言えば「美味しいけど量が少なかったね!」とかそういう文脈で使うものだ。これは量の以前に味がしない。
機体が動いたときの綺麗さや謎に丁寧な百合パートを見る限り、ゲームの基礎部分と序盤のシナリオで開発費が尽きた状態でリリースしたんじゃないかと思われる出来。
全6話あるが、6話の話だけでもおそらく本当は3〜5話あったはずなんじゃないだろうか。
当然ながら3000円の値段は高すぎるし、いくらインディーゲームと言っても製品版と銘打ってる以上は批判されてもしょうがないだろう。(これがアーリーアクセスならともかく……)