Project Nimbus: RISE MIRAI感想!これα版じゃないの?

Project Nimbus:CODE MIRAIのDLC、RISE MIRAIをクリアしました。『RISE MIRAI』はあくまでも『CODE MIRAI』のDLCなので記事タイトルは正しくないんだけど、CODE MIRAI自体のレビューは一度してるからこれで行きます。

『プロジェクト・ニンバス Code:MIRAI』レビュー!何もかも大味すぎ

RISE MIRAI

RISE MIRAIは本編に含まれる1章・2章の話の続きである。後日談ではなく、3章・4章と続くので話はそのまんま続きである。アニメの1期2期とかではなく、どっちかというとアニメの前半(〜6話)と後半(〜最終話)に分割されていると言った方が正しい。2章で終わりだとバッドエンドだし。(それを有料DLCとして売るのはどうなの?と強く思う……)

先述のレビュー記事はリリース当時のVer1でプレイ後に書いているが、PS4では修正パッチも出て今はVer2になっているので、本稿ではパッチでの修正も含めて書いておく。

久しぶりに起動してみれば改善されていることも多かった。何の意味もなかったバレットタイム(スローモーション機能)は削除され、代わりに武器ホイールが追加された(若干のスローモーションは入るがバレットタイムほどではない)。これによって武器を切り替えるのにコントローラーをがちゃがちゃする度合いが減った。減ったというだけで、依然としてがちゃがちゃ具合は凄まじいが。

がちゃがちゃ具合でいうと、操作もカスタマイズできるようになったので、個人に合わせた操作ができるようになった。デフォルトだと忙しすぎる……。ちなみに変形可能な機体で変形したあと、機体操作の上下が逆になるのも設定でオフにできるようになった。

UIも改善されて、依然よりもどの武器がどれくらいリロードされているかという表示もわかりやすくなった。

ただ個人的に、今あげた点以外は特に良くなったなぁ〜、と思うことはないかな……。割と頻発する進行不能バグが直ったのはいいけれど、マイナスがゼロになったのを手放しで喜ぶわけにもいかない。

あたり判定が太い武器で地上の敵を狙うとヒットしないという致命的に楽しくない要素は治ってないし。

戦闘

戦闘はハイスピードアクションを謳っている通り、ブースターをぶんぶん吹き回して高速で敵とやり合うというもの。

敵に近づいて→ロックオンして→撃つというシンプルな内容なので見た目ほど難しくない。……というかこれ以外ない。あとはいかにぶんぶんブースターを振り回して敵の攻撃を避けるかという点に尽きる。

ちなみにロックオンして撃ったとしても、敵も高速で動いているため必ずしも当たるわけではない。というわけで(ミサイル以外の)ホーミング武器、高速高火力の火器以外は割と死に武装になりがち(ミサイルはフレアを焚かれて無効化されることが多い)。機関砲とかは「他に撃つものないし、リロード終わるまでばらまいとくか……」という感じ。

撃つ→ヒット→倒す→ロックオンが切り替わる→撃つ…というサイクルになりがちで、射撃して、当たって、倒して、次の敵に切り替わる、というワンテンポ挟む流れがゲームスピードに噛み合ってないように感じた。

この戦闘の何が問題かというと、何も楽しくないということに尽きる。特にボス・拠点級だと硬くて硬くて、ただコントローラーをガチャガチャやってブースターを振り回しつつ次々と武器を変えて攻撃を垂れ流すだけ……というパターンが非常に多い。

というか、武器の切り替えがあるゲームって大抵「この武器は火力は高いけど隙が大きいから距離を取ろう!」とか「この武器は敵の息切れを狙って使おう」「この武器は接近して当てる!」とか武器ごとに個性があったりするものである。

しかしこのゲームの場合はどの武器も近づかないと当たらないし、別に距離によってダメージが変わるわけではないし、どの武器にも硬直が存在しないためそこらへんの差がない。どれだけ当てやすいかで強さが変わるので、使いたい武器・使いたくない武器がはっきり別れてくる。

戦闘そのもの以外にも問題はある。例えば護衛ミッションなんかだと、まず前方の敵を倒す→後方から護衛対象が敵と一緒に現れるので全速で後退して敵を蹴散らすという流れが普通に存在する。

ちなみに護衛対象は結構狙われやすいが、攻撃を食らっても無言で、かつUI上の表記も見づらい(非常に見失いやすい)ので、やたらとストレスが溜まる。気づいたら体力が赤ゲージ、気づいたら撃墜されてた、とか珍しくない。

マップは縮尺がおかしく、マップ上では前方にいるのに実際には左斜め前、もしくは後方にいるとかザラで、何に意味もない。せいぜい「赤点がこれだけあるから敵がこれだけいるんだな〜」という見積もりに使う程度。

味方(緑点)は右にいるはずなのだが……
味方(緑点)は右にいるはずなのだが……

味方(というかモブ)はやたら喋って雰囲気づくりに貢献してくれるんだが、「面白い事言おうとして滑ってる」「格好いいこと言おうとして滑ってる」ということが多くてしらける。というか話す内容がほぼほぼストーリーに関係ない「それっぽいこと」なので、雰囲気もなにもないんだが。

また、RISE MIRAIから新敵として拘束ドローンなるものが登場するようになった。こいつはひたすら近づいてきてこちらのブースターゲージを削ってくるという非常にいやらしい性能をしている。

このゲーム、ロックオンしないと敵に攻撃が当てれず、ロックオンするには距離を詰める必要があるのだが、つまり拘束ドローンに対処するには敵にある程度近づかれるのを待つ必要がある。

ドローンは微妙に硬く、しかも一度に複数現れるためロックオン圏内に入ったらほぼ必ず最低でも一機はこちらに近接してくる。ドローンにブースターゲージを吸われると高速軌道ができなくなり、ダメージを食らうのは必至。つまり高速ドローンが現れたらほぼ確実にピンチになる上、目立った対策方法はない。

ドローンに限らず、目立った対策がないのに純粋に強い敵・難しいミッションが多いんだよなぁ。だいたいの理由が敵が硬いか、速くて攻撃が当てづらいのどちらかに当てはまる。というかどっちにも当てはまるというケースも珍しくない。

褒められる点としてはラスボス戦が挙げられる。ラスボス戦にはちょっとしたギミックが存在していて、やっていてそれなりに楽しい。「やればできるじゃねえか!」とも思うが、できるなら全ステージでその力量を出して欲しい。ちなみにラスボス以外にギミックはない上、別にラスボスのギミックも凝ったものではないということは言っておく。

ストーリーあれこれ(ネタバレ含)

2章までのストーリーの感想は先述のレビュー記事にも書いたのだが、RISE MIRAIで追加される3章・4章も引き続き変わらない。一言で言うなら冗談のような出来

「原作小説のダイジェストを体験できるゲーム」というべきか、なんというかすごくぶつ切り。原作付きゲームとしてなら原作ファンはそれでも楽しめるかもしれないが、問題は原作小説というものがないことだ。

主人公の一人、ユリアーナちゃんに焦点を当ててみよう。

ユリアーナちゃんはもう一人の主人公であるミライちゃんに敬愛する上司を撃墜され、激昂のちにミライちゃんを撃墜する(2章ラスト)。

そこから修羅のような性格になり戦場を転々とするユリアーナちゃん。戦場に復活してきたミライちゃんと共闘した後、「こいつだけは墜とす!」というノリで再戦。

いい勝負をするのだがそこで唐突にミライちゃんの新機体である暁・未来からサイコフレームの共振的な光が発生。GN粒子のような不思議パワーで和解して仲間になる。

ちなみに仲間になった後、プレイアブルキャラクターとして操作できるのだが目立ったセリフは最終戦までない。サイコフレームの共振的な現象に関する説明もない。

ミライちゃんに関しては2章で墜とされた後、昏睡状態になっているという描写があり、復活ステージのようなものを挟んで戦場に復帰してくる。

その復活ステージは闇のミライちゃんから尻にボールを当てられながらひたすら前に進むというシュール極まりない内容になっている。

ゾンビみたいなのに追いかけられるし、闇のミライちゃんからは攻撃されるが、ダメージも何もない親切設計だ。プレイヤーはひたすらスティックを前に傾けることに集中することができる。

他にも、セリフやシチュエーションもそれっぽいだけで「なんかよく聞くとおかしくね?!」と言いたくなるようなものが多い。

例えばアメリカ合衆国大統領は味方に裏切られて殺されかけるのだが、その理由が「戦争状態なのに予算をどんどん削減しやがって!」というもの。そんな無能、殺されても文句言えないような気がする。

それに対して大統領は「アメリカの価値は軍事力や技術力によって決まるものではない。軍事力の削減が我々を破滅に導きはしない」と反論している。世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか?

ちなみに裏切った指揮官は「我々は子供達が恐怖に怯えることのない世界を作る必要がある」とかいうわりに、停戦協定を結ぼうとしてる大統領をぶち殺そうとするあたり筋が通ってない。

大統領は「最強の兵器を持つものが尊敬を得られるわけではない。兵器を持っていては他国と手を取り合うことはできない」とも言っている。美しい言葉だ……。
(TIPS. ミライちゃんが属し、最先端バトルフレームである未来を有する国防総省の兵器試験部門である民間軍事企業MITHRILミスリル大統領直属の指揮系統である!)

グラフィック・メカニック

グラフィックに関して。

高速戦闘でぶんぶん飛び回ってるぶんにはかなり綺麗。モーションブラーなども駆使されて高速で飛び回ってます!という雰囲気はかなり強い。

ただ上のGIFを見ても分かる通り、戦艦をぶん殴ってるにも関わらずめちゃくちゃ小さいので、物体の大きさの比率がおかしい。戦艦がこれなので、正直ミニチュアを相手に戦ってるような気分になってくる。

細かいロボットのデザイン・グラフィックとなると……。デザインは好みなので一概にも言えないが、個人的には特に好きでも嫌いでもないデザイン、とだけ言っておく。

また、こちらから見える敵の機体はとても小さく、それこそ近接攻撃が当たるような距離じゃないと視認することができない。敵を表すマーカーを相手に戦っているような気持ちになってくるし、なによりも敵の機体がロックオン時に表示される名前でしか判別できない。

総評

の一言に尽きる。

ゲーム部分は高速戦闘に関して光るものは感じられるものの、磨けば光るものだよ、と原石を渡されても加工のしようがない。戦闘は駆け引きもない単調なものだし、随所に「もうちょっとユーザーに優しい仕様にできるよね?」と感じられる不便さがある。端的に言うとユーザーフレンドリーに欠ける。

ストーリーはあってないようなものであり、本当に雰囲気づくりに特化した作りになっている。作者の頭の中にはあるのかもしれないが、それらを一切追求してないので肝心のユーザーは置いてけぼりになってしまう。まぁありがちな内容だし、深い内容でもないから容易に想像できるものだが、だからと言って放棄していいわけがない。

ストーリーを感じることが難しく、かつ雰囲気に特化したゲームと言えば最近ではダークソウルやブラッドボーンをプレイした。ダークソウル・ブラッドボーンでは普通にプレイするだけでは訳のわからないまま前に突き進んで行くだけになるが、しかしアイテムのフレーバーテキストや登場人物のセリフなどをつなぎ合わせていくと何かしら物語をつなぐ線のようなものが見えてくる。雰囲気はあくまで結果であり、結果をなぞらえてプレイしているものの、しっかりと読み解けば結果に至るまでの過程(物語の本筋)が見えてくる。考察させる作りになっているのだ。

ではProject Nimbusはストーリーを考察させる作りになっているかと言われると、それは違う。雰囲気ありきの結果を見せられているのだ。

軍人として戦うことの葛藤、エースパイロット同士の緊迫のバトル、味方の裏切り、平和を追求する心、昨日の敵が今日の友になる熱い展開。こういうシチュエーションを描写することしか考えておらず、それに至る過程(ストーリー)の描写は皆無と言っていい。

辛辣な言葉になるが、感情移入できないキャラクターが御都合主義で動かされるのを見ても残念ながら作者のお人形遊びとしか思えない。

と言うかここまでガワだけしか整えられてないと、まるでアルファテストをやっているような気持ちになる。「先行でとりあえず作ってみたから、どんどん意見をくれ!ストーリーはおいおい実装していくね!」という状態であるなら納得いくのだが、残念ながらSteamでのテスト期間があってのこれだからなぁ……。

人に勧められるか?と聞かれると、ゲーム部分もストーリー部分もどちらも人にオススメできるクオリティではない、と言うのが私の率直な感想になる。ゲームとして遊べないというわけではないからクソゲーとは言わないが、残念ゲー、がっかりゲーと言う感じか。

『CODE MIRAI』本編とDLCとしての『RISE MIRAI』のバラ売りと、セットにしたコンプリートエディション2つの販売があるが、個人的には前者をオススメする。とりあえず『CODE MIRAI』だけを購入し、続きが気になるようであれば『RISE MIRAI』を購入すると良いだろう。

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