鎧萌えというジャンル、なくはないと思います。
少女騎士団×ナイトテイルとは、女子高生が鎧を纏って剣やら槍やらを振り回すスポーツマンガである。
競技名はヘヴィファイトと呼ばれるらしいが、恐ろしいことにこの競技実在する。欧州が本場(らしい)。
みんなノリノリ。かっこよすぎるでしょ。
そういうことなのでこのマンガはいたってリアルなスポーツマンガである。なぜ競技者が女子だけなのか、鎧を着ていたとしても鈍器を振り回して危なくないのか、そういうツッコミは無粋である。ガールズ&パンツァーに砲弾をぶっ放して危なくないのだとかなぜ男子と戦車がミスマッチなのかとツッコムくらい無粋である。このマンガはガールズ&パンツァーがリアルな競技であるのと同じくらいリアルなのである。
鎧をまとった少女(右)・春日井 奏と、気弱な少女(左)・天川しのぶが出会ったところから物語は始まる。わりと典型的なガールミーツガールである。
奏はヘヴィファイトの競技で世界一を目指しており、しのぶはそれを応援する……だけと思いきやなりゆきで試合に巻き込まれていく、というお話。スポーツマンガではあるけどスポ根ではない。
話のテーマには騎士道が挙げられる。騎士道とは何か、貫くモノとはなにか、諦めてはいけないモノとはなにか。そのようなことが常に話の主軸にある。
この騎士道によって、登場人物の信念に説得力が生まれる。ただのご都合主義ではない人情をリアルに感じることができる。上のシーンがかっこよくなる。(実際に読んでほしい)。
少女騎士団×ナイトテイル1 Kindle版 (犬江 しんすけ)より
正直に言うが、話自体はコッテコテのスポーツマンガである。部員が足りないから初心者のしのぶが入部させられるというところもそうだし、部員を集めるというところがあるのもそう。弱小校で部員の数が少ないというところもそう。
だけれど、だからこそ騎士道という信念が活きてくる。登場人物の個性に関わり、行動に説得力が生まれる。というかなんと言ってもかっこいいわ。
試合中の動きはブンブンでキレが良い。そして何が起こったかわかりやすい。
(ちなみに顔はちゃんと防具を着ている。何もないように見えるのはマンガ的表現である)
鎧もちゃんと書き込まれていて気持ち良い。「わかる!ファンタジー系のゲームでこんなん見たことある!わかる!」となって気持ちいい。そしてなんか一見ダサそうに見えてかっこいいのもまた好感度高い。鎧フェチになりそう。
そしてヒット判定などは剣道とは違い受けた側の自己申告なので、ここに潔さが出てくる。これもまた騎士道。
一見してファンタジーなのかリアルスポーツなのかよくわからない作品だが、「なんか本当にありそう!」と思えて、そして「実際に見てみたい!」と思える作品に仕上がっている。ヘヴィファイト自体は実際にあるのだけれど、それにうまく高校スポーツという雰囲気を掛け合わせている。
見てるとダークソウルの対人がやりたくなってくるマンガ。スポーツマンガが読みたい人にも、かっこいい中世モノが読みたい人にも、万人にオススメできるマンガです。