ゆるっとした不思議な青春学園モノ『そんな未来はウソである』

『そんな未来はウソである』はウソがわかる少女佐藤アカネと目があった人間の未来が見える大橋ミツキ、加えて平凡な男子高校生の高山ナオトをメインに据えた作品。

ミツキ(未来が見える)は自分がナオトと結婚する未来が見えて、そんな二人をアカネは応援するのだけれどそのためにナオトと仲が良くなって……というあらすじだけでドロドロしそうな内容の作品だけれど、全然ドロドロしないのが桜場コハル氏の作品ならでは。

話自体はほぼほぼアカネ(ウソがわかる)の視点で語られていく。アカネは相手のウソがわかるということで人付き合いが嫌いで基本的に一人でいることが好き。同じ超能力が絡んだ日常モノだと琴浦さんとかを思い出すけれど、琴浦さんと違うのは特に人間不信というわけではなく、単に「人は大概ウソをつく人間であり」「ウソをつく人は嫌い」という程度。だから「ウソをつかない人は好き」だし、優しいウソにも気づいたりする。

あと、だからこそ他人が信じないようなことでも信じたりする、いたって根の良い子だったりする。あと、貸りは必ず返すとか、ウソをつく人は嫌いといっても本人もウソをついたり、人間味がある。かわいい。

そんなアカネに対してミツキは仲良くなりたいと思ってる。人の未来が見えるのは嫌だから人と目を合わせるのは苦手なんだけれど、それでもその中でアカネは自分の能力と付き合って成長していく。これが本当に可愛い。

ナオトはミツキの事が好きで、だけどミツキはそうでもなく。ミツキの好意はアカネにあって(親´友としてだけど)、アカネはナオトとミツキをくっつけさせたい。そんな中、ミツキは『アカネとナオトが結婚する未来』が見えて……。

字面だとドロドロしそうな関係でも、シリアスな展開だったりイライラする展開だったり修羅場な展開は一切ない。まずもって登場人物がほぼほぼ良い人で、展開に温かみがあるのだ。ナオトが中心の回はナオトの気分になって甘酸っぱい青春の匂いがするし、女の子たちが主役の回なら女の友情というかなんというか、若干百合っぽい雰囲気になる(親友として好きみたいな)。

だから、このマンガをなんと分類すればいいかちょっと迷う。青春マンガと分類しちゃうと大雑把すぎるし、間違いなく百合でもないし……。帯には学園ショートコメディと書いてあるけれど、コメディだけかと言われるとまた微妙。まぁ大雑把に青春マンガが一番合うのかなぁ。

登場人物は可愛いし、展開は面白いし、関係は甘酸っぱいし……。ゆるっとふわっとしたゆるふわな展開でずっと読んでられる。全6巻を一気読みしてしまった。うおー!おもしれー! ってほどじゃないんだけど、ついつい読み続けちゃうみたいな。

ちなみに作者の桜場コハル氏はみなみけの作者でもある。みなみけにストーリーと青春を足した感じといえば伝わるのだろうか。みなみけが好きな人には間違いなくおすすめできる。間違いなく。

ゆるっとふわっとした甘酸っぱい青春と友情のコメディ。青春マンガ好きでも百合好きでも日常好きでも楽しめる作品でした。

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