『キラキラミラ 8人の遺伝子異常者と血の幽霊』をプレイしました。クリア時間は5.5時間。間に休憩とか入れなければ5時間くらいでクリアできると思います。
超常の能力が絡む異能力ミステリー
主人公であるミシェルはかなり物覚えの悪い少年だったが、『メモライズ』と呼ばれる完全記憶の遺伝子異常を発症する。遺伝子異常のある子供は決まって「ウエストウッド中学校」に行かなければならない。
ミシェルが学校の門をくぐるとそこは大人がいない、遺伝子異常の子供たちだけがいる脱出不可能な空間になっていた。
そして校内のスピーカーからはミラを名乗る幽霊が「私はあなたのうちの誰かに取り憑いて、誰かを殺す。誰に取り憑いてるか当てたら素敵なプレゼントをあげる」と発するのであった……。
というのが本作のおおまかなあらすじ。一言で言ってしまえば「超能力クローズドサークル」もの。ちなみに能力とか言ってるけど作中では一貫して遺伝子異常の『症状』である。(「君の症状はどんなの?」みたいな聞き方をする)
ストーリーは誰が殺されて誰が殺すのか、予想のつかない展開で面白かった。各人に同期がない上になんかこう……正直みんな怪しいしな!
何せ登場人物には『症状を忘れたと言い放つやつ』『触れただけでもヤバい毒を作り出すやつ』『他人の姿形を真似できるやつ』とあからさまにやばいやつらがいるし……。この中で平和なの体が発光するやつくらいだろ……。
ちなみに他には『静電気を生成する症状』『元軍人の症状なし』『物体の過去を調べられる症状』がいる。主人公は完全記憶ですね。
しかしそんなのはプレイヤー目線の話で、話してみると案外みんないい奴そうではある。主人公は猛毒娘ちゃんと仲良くなるために自分から握手を求めるし。
ただし起きる殺人に動機はなく、全部幽霊が乗っ取った仕業なのでそこはそこ、ではある。
アマノくんなんかは顔は怖いが話してみるといい奴だし、まさしくオネエみたいなサムエルだったり、こんな状況でも基本みんな明るく振る舞ってくれるので会話にストレスがないのは良かったな。
ストーリーの展開も一つ一つ疑問をつぶしていってくれるので丁寧に感じた。
サクサク進むゲーム性
基本的にゲームの内容は会話→証拠を集める捜査パート→推理パート→会話という感じで進む。
このうち捜査パートはキャラを移動させて会話や捜査をする必要があり、推理パートでは「いや、それは○○だと思う」ということを示すために集めた証拠から選択したりする、オーソドックスな推理ゲーム。
どちらもそこまで難しくはなく、捜査パートに至っては調べるところ全て案内されているので迷うことはない。ちょっと他のキャラを探すために寄り道することはあっても、「証拠が見つからないよ〜😭」みたいな迷い方はしない。
推理パートも会話の流れで「この証拠だな」ってすんなり選べるのでストレスがない。間違えてもペナルティがないのもイイ。わからない場合はヒントも確認できるけど、全然みなくてもクリアできるしね(実際使わずにクリアした)
「ここは何の証拠だ……?」って悩んだのは2〜3回くらいしかなかったし、それもよく考えればわかるので推理ゲームとしては良いつくりだと思う。
みんながみんな解決に向かおうとするので「○○って□□だよな?」「□□ってことは……」→証拠を選べ! みたいな感じでわかりやすく選ばせてくれる。
なので捜査パートにせよ推理パートにせよ基本的に一本道。サクサク進むのでテンポが良かった。
圧巻のスチル
キラキラミラをプレイした瞬間、独特の絵だなと思ったけど、次の瞬間の感想は「え、ここで絵が変わるの?」だった。
というのもこのゲーム、立ち絵らしい立ち絵がない。会話ウィンドウでの顔はあるが、それ以上にスチルが多い。
数えてみたら第一話だけで(数え間違いがなければ)72枚あった。枚数がおかしいよ……。
絵そのものは独特だけれど、慣れれば味があってすごい良い。そして注目すべきはその表現力。
セリフがなくても何が起こってるのかわかるのは本当にすごい。操作パートは基本ウィンドウでの会話だけだけど、重要なパートは頻繁にスチルが切り替わるので、何が起こってるのか、今どんな空気なのかがピリピリと伝わってきてかなり良かったね。
一応注意喚起しておくと、死人が出るのでグロテスク・ショッキングな表現もある。ただ絵のテイストのおかげか気になるほどじゃなかった……とは思う。
グロ表現に慣れてるゲーマーの言うことなので、グロ表現1ミリも無理!な人は避けたほうがいいかも。
総評:少しでも魅力を感じたら遊んで欲しい
というわけでサクサク進むゲーム+ありえん量のスチルのおかげで没入感がとてもあり、一気にクリアまで走ることができた。
ストーリーも終盤でちょっと強引なところがあったとは思うが、十分納得のいくストーリーとオチだった……!
全体的にスピード感あって、作者の勢いや熱意をとても感じる作品でした。
一応細かい不満点を挙げておくと全体的にノベルゲーなのに操作がアドベンチャー寄りのキーボードオンリーなところがちょっと気になった。1時間もすると慣れたけど、最初は「マウスを使ってプレイさせてくれ〜〜〜」とは思った。
あと、スチルのシーン切り替えの飛ばしができなかったり、文字表示速度が変えれなかったり。ノベルゲーをサクサク飛ばしながら読むタイプの人間としてはちょっともどかしさを感じたかな。
でもどっちも「アプデでなんとかして!」と言いたくなるようなこともないので、本当に「強いていえば」ってレベル。
総じて言えばインディーゲームでここまでの体験ができればほんと満足!
クリアしたあと、このゲームはもっと盛り上がっていい器があるのに……!と思った。それくらい推したいです。
Steamの定価800円なのでサクッと買ってサクッとプレイして欲しい。
ネタバレ込みストーリー感想
※ここからはネタバレ込みのストーリー感想を書き連ねていくので、未プレイ者は注意。
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ストーリーのオチについて話すと、非常に好みの分かれるオチだったと思う。賛否じゃなくて、好みの問題。
ハッピーエンドが好きな身からすると「あぁ〜〜〜こう終わるのか〜〜」って感じ。まぁでも時間が経つとうまく咀嚼できて「やっぱこうしかないのかな〜〜〜」って思った。
登場人物の中ではエリザベータが好きでした。でしたっていうか終わった後でも『エリザベータ』は好き。
クール系のメイドってかなりツボ。ローリーを引っ叩いたところなんかはかなりツボ(「引っ叩いてくださいと言われていたので〜」のとこ)。
エリザベータ……というよりレイヴァリーがどうしようもなくイカれてたのは面白かった。
プレイ中は気にならなかったけど、終わってから考えるとこいつは
「ミラが不死身になって永遠に苦しむ可能性がある」というのを新聞で読んだ上で
「ご主人様が苦痛地獄に陥ると思うけど永遠の存在にしーちゃお!」で行動してるんだよな。なかなかの狂気を感じる。ミラに親でも殺されたのか……?
レイヴァリー周りは気になるところは多かったが、なんか全体的には勢いで読むべきシナリオで深く考える必要はないかな〜と思った。コインの件とか……。
そういえばタイトルも、作中では明確に回収されなかったけどそういう余韻が良かったと思う。キラキラミラっていう、オチというか、終わりの象徴と言うか……。このタイトルのセンスがすごい……。
最終的に一人になってしまったけど、ミシェルは「生きていてもしょうがない」から「みんなのために生きよう……!」になったのは良かった。
メモライズという症状がゲームシステムだけのためじゃなくて、ちゃんと話のオチとしてまとまってたのはよかった〜〜〜。
濃密で止まれないクリアまでの5.5時間でした。