廃深というホラーゲームをプレイしたので感想。
感想
2D探索型ホラー。はるか昔に序盤だけしかプレイしてないから違ったら悪いけど、システムとしてはクロックタワーに似てると思う。
PC版をやったのでキーボード操作に対応……なのだがどう考えても操作がPCに最適化されてないのでやりづらい。コントローラーに操作が最適化されてるのでコントローラーでのプレイ推奨。
俗に言うジャンプスケア(いきなりウワァァァ!!みたいなびっくり要素)はなく、丁寧なホラーゲームだった。
じわ怖だし、敵が出てくる時も予兆があるのでびっくり要素に怯えながら進む……ということもなかったのでホラー要素は良質。
登場人物は3人いて、最初は美緒ちゃんだけだが合流すればプレイアブルなキャラとして使える。ただし操作中の見た目が変わるだけでそれ以上の意味はないけど。
基本的な流れとしては探索→謎解きの繰り返し。謎解きそのものの難易度は高くないが、探索の難易度は妙に高い……というかわかりづらいことが多くて変にハマる。
謎解きの内容は、公式HPを見ればわかるがその……モロにエロ。パンツを隠す気が一切ない。開発者はパンツを見せるためのゲームを作ったんじゃないか?と思うほど。
全エンド達成まで10時間かかりました。めちゃくちゃスムーズに行けば3時間、変に詰まらなければ5〜7時間くらいでクリアできると思う。
なぜ10時間もかかったかというと、変に詰まったから。探索ゲームなのに探索が妙にわかりづらい……。アイテムが見えづらく、調査可能な場所も重なってるし……。
あと、ヒントが少ないのも厳しかった。ないこともないが、バックログもないので直前の会話を忘れちゃったり見逃しちゃったりしたら次何すればいいんだっけ?ってなる。
というかヒントがない場合もあるので「次何すればいいんだっけ?」と登場人物がヒントを教えてくれる機能は欲しかったかな。
私はED3条件達成後から2時間くらいうろちょろしてたので、変にハマる人はめちゃくちゃ時間かかるんじゃないかな……。攻略サイト見る前提ならたぶん3時間くらいで終わるんだろうけど。
特にED3条件を満たした時は敵が出てこなくなるので、なんかこう……敵に怯えることもなくキャラクターが歩くのをただ眺める虚無の時間を過ごしていた。
ストーリーは良くも悪くもお約束という感じです。個人的にはお約束だとしても演出も丁寧だったので好き。
ホラーゲームというよりもホラーテイストの美少女ゲームという感じ。こういうのってエログロだったりするゲームが多いけど、グロがなくてエロに全振りしてるのってなかなか見たことないぞ……!
こまけぇこたぁいいんだよ!!(死語)という感じで全てを流せる人向け。2000円という値段の半分くらいは声優代と考えた方がいい(豪華フルボイス)。
ちょっとした考察
具体的な証拠が全くなく、憶測でしか言えないが誰もが察する通り、オーナー父娘と梓は肉親だと思う。まぁ、じゃないと唐突に梓の「父と姉が無理心中」の話が出てきた理由もわからんので……。
梓ちゃんがオルゴールやカセットテープに詳しかったり、ここだとやたらと関連出てきたのもそういうつながりじゃないかなぁ。
ちなみにホテルのカレンダーが15年前で止まっていることと、無理心中が起きた時が梓5歳ということを考えると梓は20歳ですね。奈々も美緒も同い年……だと思う。年が違っても幼馴染とは言えるし、なんともだけど(行方不明のニュースで20代とはなってるので矛盾はない)
父娘の直接の死因は(見逃しがなければ)わからない。奈々のホテル説明によると「借金を苦にして無理心中」とのことだが、眉唾というかゴシップ程度のものだと思う(まぁ遊園地が閉園になって経営が苦しかったのは事実だと思うけど)。
神棚に入っていたカセットテープでは「お前が娘を殺したんだな!」と父親が従業員をナタで襲っているので、そもそも新聞にも載ってたような無理心中ではない。不思議な力で死ぬことになった。
娘はどこからか人形を持っていたというので、人形の呪いに殺されたんじゃないかと思う……けど具体的な死因はわからない。
ただ、204号室で見せられた風呂場の残虐シーンは娘の方の話らしいので、むごい殺され方をしたのかなぁ……?と思う反面、娘を殺したであろう人形の霊はそこまでダイレクトに殺しに来るのか……?とちょっと思ったけど、よく考えたら『逃れられない悪夢』ではダイレクトに殺しに来てた。
ちなみに私は着ぐるみがダイレクトに襲ってくる以外の超常現象は全部人形の霊の仕業だと思ってます。娘は襲ってくる理由ないし、父親だったらもうちょっと連携してくると思う。
幼い頃の体験に対して梓は「姉が助けを求めていた」と解釈してたけれど、人形の霊が引きずりこもうとしてたようにしか見えん……見えないよね……? もしくは姉が助けを求めて引いてたとか……。
人形の霊に関しては、実は割と行動がはっきりしてる。以下にグッドエンドでの少女Bの発言を記す。
その人形に気に入られた人は、ホテルを訪れると取り込まれて殺されちゃうって話
どうもホテルに入り込んだ人間は〜、ではなく人形に気に入られた奴がホテルに入ると〜という珍しいパターン。
気に入られてたのは美桜でしょうね。ホテルに入った時から見えてたこととか、ラストの地下に潜ってから美緒がやたらと襲われてたことから。
その場所に捨てられた子どもたちの霊を慰めるために人形が祀られたんだって。それがその『呪いの人形』なの
(中略)「祀られた人形なのに?どうして呪いの人形になってるの?(少女A)」
それはね——
——ある時、その人形を祀ってたほこらが地震で埋まって誰も入れなくなっちゃったの
子どもたちはそれが寂しくて悔しくて
だから誰かに気づいてほしくて、声が届いた人たちをほこらに誘っては、その人形を渡すんだって
『遊んでよ』って——
人形を渡された人はホテルからは出られなくなって、ずっと子どもと遊ばされるんだって
『人形を渡された人はホテルからは出られなくなって、ずっと子どもと遊ばされるんだって』の一文だが、これはおそらく死んでもそこに縛られるという文脈が含まれているんじゃないかと思う。
物語中盤まで、父娘が成仏するまではこの人形の所持者は娘。そして娘と父が揃って成仏したことによって、次なるターゲットが3人(のうち美桜?)に移ったんだと思う。人形が手に入るのって「なにしてあそぶ?」って言ってきた後だしな……。
プレイヤーに見える子供の例は暗証番号を教えて助けてくれたりしてたので、あれは人形の霊ではなく父娘の霊だと思う。
そういう意味だと直前まで人形の霊と「遊んで」いたのは父娘の娘の方じゃないかと……。こわ。
また、この会話が美桜たちがホテルを脱出したあとの話だとすると、人形の霊はやっぱり祠に戻しただけじゃ別に除霊もされたわけじゃなくて「祠まで戻すのがゲーム」みたいな感覚で遊んでるんだと思う。人形の霊強いな。
ちなみにホテルは劇中でもちらっと言われていたが異次元にあるんだと思う。根拠はこんな感じ。
- 奈々の友人と同じ場所に行ったはずなのに会えなかった
- 『感染拡大』エンドで、警察が廃墟を探索したのに誰の遺体も見つけられなかった
- 『逃れられない悪夢』エンドで、家に帰ったはずなのに廃墟に行ってからの足取りを誰も掴んでいない(本当は帰宅できてない)
- 少女Bの話からすると本当は地下は崩れている
ホテル(異次元)に行くには、入る前から人形に気に入られてる必要があるので、ホテルに入れば異次元に行けるわけではないんでしょうね……。感染拡大のエンドから分かる通り。
感想まとめ
良かった点
- 適度に怖く、怖すぎない
- 定期的にえっちな絵(R-18ではない)が見れるのでメリハリがある
- ストーリーはお約束を踏襲しつつ丁寧に描かれている
- フルボイス
気になった点
- 探索が妙に不親切
- 敵キャラがいない後半は失速気味
- ヒントが少なく、分岐がわかりづらい
総評
全体的にストーリーは面白くて良質。ホラーも手軽に怖くてかつ怖すぎないので詰みづらいと思う。
気になったのはやはり探索パート。アイテムを見逃しやすかったり、一度調べた場所でも後から調べ直したりしないといけないので初見だと結構時間がかかる。
また、後半の方は敵が出てこなくなり「ホラー……?」という感じだったのでそこも残念かな。
3人の会話は好きだったし、もしこの3人が出る新作があったら買いたいなと思う程度には楽しめたので、ゲーム内容に少しでも惹かれるところがあるなら買っても損はないと思う。えっちなパートもそれはそれでメリハリがつくので。
週末にちょっとスリルなゲームを……という感じで買っても楽しめると思う。手頃に遊べるホラーゲームでした。