廃深2をクリアしたのでレビューします。Steamの実績全解除は11時間ほど。詰まる人はもっと詰まるかもって感じです。
廃深とは
廃深(はいしん)は横スクロールの2Dホラーゲーム。
「動画投稿サイトでバズらせるために廃墟探索へ行ったら廃墟から出られなくなっちゃったし着ぐるみの化け物が襲ってくるし、私たちいったいどうなっちゃうの〜?!」と言う感じのゲーム。
初代「廃深」とおおよそのストーリーとゲーム性は変わってないが、話のつながりは薄いので2から始めても問題ない。
一応どれくらい繋がりがあるかと言うと、今作主人公は前作主人公に憧れているってのと、サブパートで前作の後日談がある程度。あと前作の着ぐるみが友情出演してくる(こっちは襲ってこない)。あと土地が一緒(同じ堵替塚市)
サブパートに関しては前作プレイ済からすると後日談だな〜って感じだけど、逆に今作とは全く関係ないのでプレイしてない人にとっては「🤨?」ってなると思う。
探索してアイテムを探したりしていると時たま着ぐるみが襲ってくる。襲う前は「キキキッ」みたいな笑い声がするので前兆がわかりやすく、かつ音量でビビらせてくるというわけでもない。
いわゆるジャンプスケア(急にバンッ!ってして「きゃあああああっ!!」ってするやつ)はあんまりないので安心していい。(全くないわけではない)
キャラクターは可愛かったり、隠れる方法もちょっと間抜けなバリエーションが増え、ホラーゲームとしてはバリバリホラーというわけでもない。
そこを薄味なホラーとするか、カジュアルに楽しめるホラーとするかは人次第かな〜。私はカジュアルでやりやすくて好き。
正直ホラーゲームはかなり苦手だけど、一人でもなんとかプレイできるレベルだったので助かった。
(例えば以前レビューしたShadow Corridorなんかは怖すぎて最初一人じゃプレイできなかった)
ボリュームアップしたドラマパート
前作の時点で「廃深」とはこう言うゲームだ!という骨筋は完成していたが、今作はブラッシュアップして帰ってきた。
まず、ドラマパートがめちゃくちゃ増えた。前作が少なかったとは言わないが、今作は「多い」と言える量だと思う。価格に表れてるのか1000円上がりました。
何せスタートからチュートリアルを抜けて探索パートに入るまで、ドラマパートをオートで流していたら20分前後かかったくらいだ。これは逆に長くて苦笑いした。
ドラマパートでは「何者にもなれない陽葵」「過去に親友から裏切られた藍那」「お母様に振り向いてもらえない雅」というそれぞれの悩みを描きつつ、このどうしようもない廃墟から脱出頑張ろうよ!と励まし合う。
特に陽葵の悩みは全Z世代に刺さりそうだからやめてくれ……!という感じだ。俺に効く。
最初はアイテム一つ入手するたびに入る会話にちょっとテンポの遅さを感じたけど、途中からはホラーの清涼剤として結構楽しみに感じた。
前作だと登場人物の過去があんまり描かれなかったので、クリアしても「なんか廃墟にやってきた女子高生」くらいの印象しかなかった。
梓と奈々はずっと喧嘩してるし美桜はメンタルがオリハルコンで出来てるし、いったいこいつら何者なんだ……?と言う感じ。
今作ではそれぞれバックストーリーがあってよかった。バッドエンドでもそこら辺が絡んでたのはよかったかな。
前作のバッドエンドだとキャラのストーリーとの絡みはなかったから、そこは良かったかな〜って思う。
進化したシステム
廃深(はいしん)と言う名前は配信とかけてある。英語圏におけるゲームタイトルがLiveStream(=配信)なことからも明らかだ。
前作だと「配信」要素は本当に薄く、精々「動画投稿のためにきた」「奈々ピンチパートが配信されている」程度だった。あとはまぁ……自販機の下から100円を探す時くらいか……
今作では「離れているが常にお互いの様子を配信を通じて確認し合っている」という設定でプレイすることになる。
前作だと合流した仲間と操作キャラクターを交換できたがそれは見た目だけの変更で、プレイには一切影響がなかった。
今作ではそもそも合流できていないキャラを切り替えて探索する必要があり、前作では意味がなかった「キャラ切り替え」と「配信」要素をうまくプレイ部分に昇華させたな〜と言う感じ。
操作キャラクターはそれぞれいる階が違い、合流こそできないもののアイテムのやり取りはできる。
そうなるとリソース管理が難しそう……って思うかもしれないが、アイテムは必要とするキャラに渡す以外のことができないので、無駄なやり取りが発生する心配はない。何も考えずに受け渡しポイントに行くだけでいい。
プレイ時間的にもカジュアルなゲームなので、そこらへんで無駄にやり取りする必要がないのは嬉しかったな。脱出ゲームみたいなシステムで謎解き以外にアイテムを使わないので、そういうところで無駄にやり取りが発生するとめんどくさいし。
前作は探索がメインという感じだったが、今作はパズル系の謎解きも多くなった。ただ、スマホによって撮られた写真がメモとして残り、ヒントとしていつでも見れるので難易度は優しい。こういう優しさは嬉しいね。
前作での不満も解消された点は多い。
今作は常にダッシュできるようになった。前作では追いかけられている際にしかできなかったので、探索時が常に歩きでダレる点が解消。ちなみに歩く必要は皆無なので常にダッシュでいい。
会話のバックログも実装された。今現在の目標もメニューに表示されるから何をやってるかを忘れないで済む。どっちもなかったおかげで前作だと「あれ?今から何をすればいいんだ?」と悩むことは結構多かった。
ドラマパートと併せての話になるけど、アイテムを手に入れるたびにキャラクターが会話してくれて「次は何をすればいいんだ!」って教えてくれるのは結構楽だった。
それも踏まえて、今作はゲームの勘所がわかってれば比較的アイテム収集は簡単だと思う。
全部前作のレビューで書いた不満点だったからその辺が改善されたのは嬉しい。
あとはセーブデータの個数が10から20に増えたり、オートセーブが実装されたり、とにかく優しくなった。前作はセーブデータの数が10個しかなくて分岐もわかりづらいから、どこでどれだけセーブすればいいかわからなかったしね……
オートセーブが実装されたおかげで、ピンチパート(?)の時に失敗してゲームオーバーになっても直前で復帰できるようになった。これはマジでありがたい。
前作からの課題も一部そのまま
残念ながら、前作からの課題は残っている。
まずは探索ゲームなのに妙に探索がわかりづらいこと。
前作でもそうだったが「妙に探索可能な場所が分かりづらい」「ノーヒントで探索可能な場所が増える」のがきつかった。どこから進むのかわかんね〜〜〜でウロウロした時間は多い。
また、エンディングの分岐もわかりづらい……エンディング分岐周りは前作と比べるとマシにはなったが……。
前作では「調べるとバッドエンドに直行する場所がある」「分岐がノーヒント」「次に何するかノーヒント」みたいな場面がちょいちょいあってキツかった。
今作はアイテムを手に入れると会話が発生して次に何するかヒントをくれたり、取り返しのつかない分岐の前で「セーブしとけよ!」というヒントがあって親切になったな〜と感じる場面は多い。
ただ、やっぱりノーヒントで探索場所が増えるとか、バッドエンド2〜4の条件が気付きづらいとは思った。
分岐条件はともかく、探索に関してはマジで「あれ、ここ調べられるの?」のパターンがちょいちょいあり、見逃したら気づきづらい箇所もちょいちょいある。
このゲームはホラーとしてみたらカジュアルな部類だとは思うが、それでも私はかなりのビビりで着ぐるみが現れたら叫ぶくらいにはビビる。それで同じ場所を行ったり来たりするのは精神的にキツかったな……。ホラーゲームならしょうがないか。
また、これまた前作から変わっていないがキーボード&マウス操作が妙に不完全なことも挙げられる。PCでもコントローラーでプレイしたり、もしくはSwitch版ならそもそも関係ないけど。
キーボード&マウスでプレイする時はなんかこう……キーボードで全編プレイできて、キーボードでしか操作できない場面が存在するのに、マウスで操作できる場面ならマウスで操作した方が快適というチグハグな対応になっている
なので右手がキーボードとマウスを行ったり来たりする。なんか妙な煩わしさがあるんだよね……
特にメモの対応状況はひどい。アイテムが一覧表示されている画面でキーボードで操作する場合、キーを押したら1項目動く、押しっぱなしなら連続スクロール、という感じの挙動を期待すると思う。
このゲームはどうもコントローラーの動きをキーでエミュレートしてるような挙動をしてて、キーを押す=スティック全倒しみたいな挙動をする。
あとどうでもいいけどShiftキーという他のゲームなら普通に使うキーに「タイトル画面に戻りますか?」を割り当てるのはやめてほしい。escで良くねぇ……?
(これも多分、Shiftがドラマパートのスキップを兼ねてるから、そのままキーバインドを割り当ててるんだと思う)
あと、今作は前作と違い、時たまドラマパートの終わりかけに「以降は○○できるようになります」みたいなヒントや注意事項が入る。
これ自体は嬉しいのだけれど注意事項はボイスがないのでオートモードだとすぐに素早く消える。
読み切る前に消えることもあれば、なんならボイスがあるからとちょっと画面から目を離したときに表示されると存在に気づかないこともある。
この黄色い文言は基本的にドラマパートの終了直前に表示される。そのまま探索パートに入るとバックログが見えなくなるため、オートモードにして読み逃すと確認が不可能だ。
ここは前作との仕様を引き継いだ上の調整不足かな〜と感じた。
総評
前作から良かった点はそのまま、ブラッシュアップとボリュームアップをして帰ってきた感じだ。
惜しむらくは悪かった点も前作から一部残っていること。今作で増えることもなかったのでそこは良かったかな。
前作はカジュアルにプレイできるお色気ホラーゲームという感じだったけど、今作は1000円価格がアップした進化版。お色気シーンもホラー部分も両方増えたし、ストーリーも増えた。
1000円の価値以上の体験アップデートがあるので、前作をプレイした人も、してない人もぜひといった感じだ。