ChatGPT Atlasを使ってみたキラキラしてない本音の感想

ChatGPTからAtlasというブラウザが発表されました。なんかXでは騒がれてるけど……

ChatGPTが作ったブラウザというより…

「ブラウザを内蔵したChatGPT」と言った方がしっくりくる。それくらいまだAtlasにはブラウザらしさが足りない。

良い点は一つだけ

エージェントモードのフロントがローカルで動作する、という点だけ。

ChatGPT上のエージェントモードはクラウドでWebブラウザを作成し、そこでタスクを実行……という感じだったが、それだと以下の問題があった。

  • (IPアドレスから)ChatGPTを弾くサイトにアクセスできない
  • ログインが必要なページを実質的に利用できない

これらの問題があったが、フロントがローカルになると例えばGoogle スプレッドシートなどを直接的に操作することができるし、それ以外にもアクセスできる幅が広がるなどのメリットがあった。

私はエージェントモードを「〇〇に関するニュースを2〜3日以内に絞り込んでたくさんまとめて」みたいな使い方をしていたが、Atlasで実行してみると目に見えて提示してくるニュースの数が増えた。これは嬉しい。

ただそれ以外のまさしく「ブラウザ操作を頼めるAIエージェント」と言う点から見ると、実用的な使い道を見出せてない。

試しに今まで面倒だからで放置していた「自分のブログに関してあれこれスプシでまとめなきゃな〜…」ということをやらせてみたら、動くには動くけど満足できるほどじゃなかった。

例えば「この列にURLがまとめてあるから、そのURLを開いて、その中から特定の情報を抜き出して、横の列にデータを加えて」というタスクを依頼した。

結果としては2行程度は埋めてくれたが、そこで終わった。達成率2%である。

そのエージェントモードもPlus会員だとしても月40回しか使えないので、極端にガンガンブラウザ操作を自動化できるわけでもないものに何を託せばいいかよくわからない……

「Atlasを使ったらXに投稿できた!」とキャッキャ喜んでいる投稿もあったけどなんだかな……

「わ!これ自動化できるのすごい!」と思えるような実用的な使い方をしてる例はまだ見つけきれてないし、見出せてない。

ブラウザとして見ると?

ぱっと見はかなりChrome……というかChromiumだからそれはそうなんだけど。

ブラウザとして見てみるとパッと思いつくだけで以下の不満点がある

  1. ページ内翻訳が使えない
  2. ブラウザであることよりもChatGPTであることを優先した設計

ページ内翻訳が使えないのは……致命的だと思う。ChatGPTに翻訳してもらえばいいじゃん!と言われるかもしれないが、読む時のUIは全く変わるし(例えば英語圏の質問投稿サイトを見る時なんかはそのままの見た目で読みたい)、そもそもChatGPTは文章が長いと勝手に省略したりするので信用ならない。

ブラウザであることよりも〜というのは、たとえばCmd + Lを押した時(→アドレスバーをクリックした時)とかが気になる。アドレスバーをクリックした時の挙動としては

  1. 入力したURLを直接開く
  2. 入力した語句で検索する

を期待するものだが、Atlasの場合は

  1. 入力したURLを直接開く
  2. 入力した言葉でChatGPTに聞く/ 任せる
  3. 入力した語句で検索する

みたいな優先順位になってる。まぁCmd + Enterで検索にいけるが、普通のブラウザと挙動が違うとちょっと困る……

例えばyahooにアクセスしたいときyahoo.co.jpを直接入力してもいいが、そうでないときはyahooとググってyahooにアクセスすることが多いと思う(yahooの尊厳を破壊するアクセス方法)

もちろんyahooを開いてと入力してChatGPTに開かせる、という方法も取れるが、を開いてという言葉を作るのは頭のリソースを使う……。

AIに肩代わりさせるためにリソースを使うのはちょっと違う……脳直でyahooと入力してマウスぽちぽちしたほうが早い時は多い。

「ブラウザとして優れているところは?」と聞かれると今開いているページの内容をシームレスにChatGPTに聞けることだけど、個人的にはあんまり……

ChatGPTが出た当初は「以下の文章を要約して」とかでキャッキャしてた人は多かったと思うけどそもそも私は要約を信用してないというか、要約で何かを得られるとは思っていない。

要約で何かを学べるなら筆者は最初から要約版で提供しているはず。

要約からは筆者の何かしら「なぜそう思ったのか」「なぜそこに至ったのか」のような過程が省かれるので、要約を読みたいということは個人的にほぼない。

いやもちろん、あるWebページの内容をChatGPTに尋ねたくなることはもちろんある。ただそれだけのために、現状の使いづらいAtlasを使う価値があるのか?と聞かれると否だ。あまりにも使いづらすぎる。『普通にChatGPTにコピペして使う』という行動よりメリットを感じられない。

AtlasによるどこでもCanvas機能

AtlasはWebサイト内で入力した文章を添削できると謳っている。これ自体はいいと思う。

ただ、ChatGPTの文章はマニュアルのような手順が重要なものだったらいいとは思うが、人→人のような想いとか熱意が重要なテキストだと正直実用じゃないというか……

あまりにもChatGPTすぎる文章は読む気が失せるので、訪れたサイトが「あ、これAIが書いた文章だな」と思ったら即ブラウザバックしてます。

※ちなみにこのブログは愛情込めた指でキーボードをぽちぽちしています。

まぁ下書きをChatGPTに作らせてそれから人間が書き直していくとか、そういう補助的な作業だったらいいとは思う。ただ、それってわざわざAtlasじゃなくてもchatgpt.comに行ってcanvas機能をそのまま使えば良くない……?

他人の文章を読むというのは、その筆者の魂を受け取ることだと思ってるので、魂が篭ってない文章をわざわざ読む気にはならないので……

余談:あまりにもスピリチュアルな語彙なので『魂』という言葉を使うのは誤解を生むとは思うのだが、でもやっぱりあらゆる作品にはその人の『魂』が込められて然るべきで、どんだけ綺麗なAI絵でも魅力を感じない理由は『魂』が篭ってないからだと思う。これからの時代、自分の価値がAIに呑まれないようにするには、如何に自分の色(=魂)が出せるかだと個人的には思ってる…)

というわけでAtlasによる文章校正は価値がないとまでは言わないけど、結局「Atlasを使ってまで利用したい機能か?」と聞かれると微妙、というのが個人的な感想。

ここまで書いて思ったが、コーディング用途だといいのかも……。例えば今開いてるWebページの構造を読んで、CSSでこういうのをしたいんだけど〜… みたいな用途だと面白そう。

総評

  • 自前のフロントで動くエージェントモードはいいが、だったらエージェントモードもっとたくさん使わせてほしい
  • エージェントモードに恩恵を感じないなら、現状のAtlasを使う価値は一般ユースだとかなり薄い
  • というか単純にChatGPT抜きのブラウザとしての利便度が低いので、せめてそこさえどうにかなれば……

手軽さからWeb版のChatGPTばっかり使っていますが、Visual Studio Codeと連携したい時とかはアプリ版を使っています。

だったらこれもSafari / Chrome / Firefoxの拡張機能 + アプリ内連携で出しとけば良くね?と思いました。少なくとも現状では。

ChatGPTのアプリがたくさんバラつくのは面倒です。

まぁきっとこれからエージェントモードが進化していったり制限の緩和がくるでしょうから、騒ぐのはそこからでいいんじゃないかな〜と思います。あんまりすごいとは思えないリリースでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください